2024 年 12 巻 p. 15-27
本研究の目的は,生活者のACP(advance care planning)に関する意向を把握することである。研究対象は,向老期(60~64歳):410人,高齢期:820人(65~75歳)の合計1,230人を対象とした。選定はランダムで行い,当該の住所へと自作の質問紙を配布した。質問紙は,人生で大切にしてきたこと,死が近づいたときに受けたい延命のための医療/受けたくない延命のための医療,など8項目に対して,いつ,誰と話し合いたいかを聞いた。向老期69人,高齢期91人から回答を得た。すべての項目において,半数以上の人が早い時期から話し合いを希望していた。また,誰と話し合いたいかは,すべての項目で家族,医師,入院先の主治医の順に選択されていた。医療に関する話題では,医師や看護師が選択される割合が上昇していた。ACPの意味内容には,当事者の希望に添い医療者のもつ役割に沿った,併走が可能な部分とそうでない部分を医療者が認識しておく必要があると考える。