抄録
鳥類の向網膜神経核(ION)に存在する向網膜神経細胞(IOニューロン)は対側網膜に投射し,網膜出力を局所的かつ一過的に増強している.我々はウズラを用いて視覚探索時のIOニューロンの電位活動を記録した.IOニューロンは受容野内に呈示した光点に対して一過的に応答した.このような受動的な視覚応答以外にIOニューロンは,呈示された標的刺激に向かう定位行動の直前200msの間にも活動を増強させた.IOニューロンは,標的刺激を受容する網膜領域の出力を局所的かつ一過的に増強させることによって,視覚探索に寄与している可能性がある.