2017 年 73 巻 4 号 p. I_165-I_175
官民連携(PPP)に対する役割と期待は,今や開発途上国における地域開発や開発協力の分野でも高まっているが,民間部門の参画の観点から,この地域開発型PPPには事業の小規模性という克服すべき課題があることが明らかになっている.本研究は,我が国のPPP/PFIのさらなる活用のために議論が進む「バンドリング」に着目し,この手法の効果が,海外のPPPにも適用でき,開発途上国の地域開発型PPPの課題解決にも有効であるか検証することを目的としている.本稿では,本邦建設コンサルタントが参画しているフィリピン・ミンダナオ島での地域開発を目指した複数のPPP事業のうち,特に再生可能エネルギー事業の実施事例を取り上げながら,先行研究では国内のPPP/PFIを対象にその効果が検証されたバンドリングについて,海外のPPPにおいても効果があり,開発途上国の地域開発型PPPでも有効な手段となり得ることを示した.