抄録
1970年代,500kV変圧器導入初期に流動帯電によるトラブルを経験してから流動帯電の研究が行われてきた。これまで油流速の低減や機器の構造改善などの対策がなされてきたおり,また,流動帯電の抑制としてBTA(ベンゾトリアゾール)の添加が効果的であることが知られている。しかし,近年,経年変圧器においても流動帯電現象による機器の故障事例も報告されている。本稿ではBTA濃度を変化させた試料油の帯電度,体積抵抗率の測定を行い,また,吸収電流より移動度およびキャリア濃度の推定結果よりBTAの新たな流動帯電抑制メカニズムの推定を行ったので報告する。