抄録
現在,発話の際に生じる顔の表面筋電信号を計測することで,声を出さずに発話内容を認識する研究がなされている。筆者らの検討において,母音については,三箇所の筋を用いて,80%~90%の認識が可能なことを確認している。本研究では,新たに口角下制筋の筋電信号を加えたところ,子音/m/を持つ音節発話時に大きな活動電位がみられ,また,他の筋に比べて活動電位に遅れが見られた。口角下制筋は,母音の発話時にも大きな活動電位が見られたが,/m/を持つ音節の発話時のような遅れは見られなかった。そこで,これらの特徴を用い,子音/m/を持つ音節の認識を試みた。