抄録
著者らはこれまでミニ静電テスタの作製を行い油の帯電度測定が可能であることを確認した。また,新油,経年油と混合油の帯電度および体積抵抗率を測定し,帯電度と体積抵抗率の関係を調査してきた。さらに,体積抵抗率を測定する際の吸収電流から電荷の移動度にも着目し,帯電特性と導電特性の関係について調査した。その結果,BTA(ベンゾトリアゾール)添加による流動帯電抑制メカニズムとしてBTAの解離によるものである可能性が示唆された。本稿では10 ppmおよび33 ppmのBTAを添加した試料油の帯電度および体積抵抗率,移動度,キャリア濃度の測定,算出を行うことで,BTA解離と流動帯電抑制の関係を検討した。