抄録
磁気共鳴画像装置(MRI)で医療用金属人工関節を装着した患者を診断すると,人工関節による磁気擾乱のため画像が歪むアーチファクトという問題が生じる。そのアーチファクトの低減を行う前に,アーチファクトの現象を明らかにするため,常磁性体の人工関節の磁界解析を行った。しかしながら,人工関節を角柱で近似し、周囲の材質を空気とし,磁気ベクトルポテンシャル法で解析を行った場合のアーティファクトは実験結果を再現できなかった。 そこで本論文では,MRI画像のアーチファクトの磁界解析精度に影響を及ぼす諸因子,すなわち,解析モデルは角柱と円柱,解析方法は磁気ベクトルポテンシャル法と磁気スカラポテンシャル法,周囲の材質は水と空気,それぞれの場合について検討する。