抄録
我々は発話障碍者の発話支援のため,障碍等により劣化した音声について,話者の個人性を保持したまま明瞭度や音韻性を改善した音声に変換する発話補償システムの開発を行っている.先行研究において,話者の個人性が正規化された構音空間で音声を健常化する手法が提案されたが,この正規化構音空間とホルマント空間とは多対一の写像関係にあるため,正規化構音空間における任意の座標点(h,v)のみからホルマント空間における(F1,F2,F3)へ逆写像する際に誤差を伴う.本稿では,話者の個人性を表現する復元関数を定義し,正規化構音空間の任意の点からホルマントを一意に復元する手法を提案する.