抄録
肺疾患者の肺音には副雑音と呼ばれる異常音が含まれることが多く,副雑音を含んだ異常肺音を検出することで肺疾患者を検出することができる.従来は,心音を考慮せずに健常者の正常肺音と疾患者の異常肺音の統計モデルを学習し異常肺音を検出してきた.しかし,収録された肺音データに心音が含まれる場合には,心音が原因で正常肺音を異常肺音と誤識別する傾向があった.そこで,本稿では,心音の音響モデルを作成し,心音と副雑音を区別することを検討した.心音の音響モデルを用いた結果,正常肺音の識別精度が向上し,心音モデルが有効であることを示した.