抄録
ヒトは、自分自身の行動で生じた感覚を、外部的に発生した感覚よりも弱く知覚する。この現象は感覚運動システムの結果で、“感覚の減衰”と呼ばれている。感覚の減衰は、フォースマッチング課題というタスクを用いて定量的に測定することができ、それを評価することで統合失調症患者と健常者との違いが明らかとなっている。そのような研究では、感覚の減衰は手の指で測定が行われ、他の部位では行われていない。そこで本研究では、足の指で感覚の減衰を測定し、手の指の応答と比較することで、身体の異なる部位において応答に違いがあるのか調査を行った。結果として、感覚の減衰は手と足の指では異なる応答を示すことが明らかとなった。