抄録
遺伝的アルゴリズムの進化過程の理論的研究は、GAを応用する上でも非常に重要である。GAの理論的研究では、スキーマ理論が有名であるが、その有用性については疑問に思う研究者も多い。一方、最近注目を集めている方法にマルコフ連鎖理論がある。我々は、GAへのマルコフ連鎖理論の適用について研究してきた。有限な突然変異率のもとで、遺伝的アルゴリズムは定常状態に収束することが知られている。本研究では、遺伝的アルゴリズムにおける定常状態への収束時間を解析した。そのため、マルコフ連鎖の遷移行列を用いて収束時間の解析的表現を与え、OneMax問題を例として数値実験の結果と比較した。