抄録
ベクトル合成型移相器においては,マイクロ波帯域や準ミリ波帯域以上の周波数帯域において,ベクトル合成器部における不要な信号の漏れが生じ出力信号の位相のずれにより,位相制御を行うことができない範囲が生じるという課題がある.今回はベクトル合成器に4つのシャントトランジスタと2つのキャンセル用トランジスタを追加することにより,不要なベクトル信号の抑圧量を向上させる新規回路構成を提案し,その効果をシミュレーションにより確認した.この技術を用いて第4世代移動通信のターゲット周波数である3.6から4.2GHzの範囲において360度の位相制御が可能なベクトル合成型移相器の設計を行った結果について述べる.