抄録
本論文は中央定位するヴォーカル信号に伴奏信号が加わったステレオ楽曲信号から,ステレオ型カラオケ信号を生成する手法を提案する.提案手法は左右チャネルのスペクトル類似度を用いてヴォーカル信号を抽出し,その分散値を駆動原と状態量の相関を考慮したカルマンフィルタへ適用することによりステレオのカラオケ信号を生成する.提案手法の特徴は,左右のチャネルに対して独立した状態空間モデルを構成することにより,(i)生成されるカラオケ信号はステレオであること,(ii)IFFTの回数が減少することによる演算量の軽減であり,臨場感のあるカラオケ信号が生成可能なことである.本手法の有効性は,計算機シミュレーションを通して明らかにしている.