抄録
本研究では、ヒト子宮頸がん細胞Helaに対して強電界パルスを印加し、瞬間的なCa2+挙動を観察した。パルス幅10 usと20 nsの強電界パルスを用い、それぞれのCa2+挙動を比較した。その結果、10 usの場合、印加直後、陰極側の細胞膜近傍にCa2+が分布し、その後全体へ拡散した。一方で20 nsの場合は、印加直後、細胞核周辺に分布し、10 us同様に拡散した。次にCa2+の供給源の検討を行った結果、Ca2+挙動は細胞外のCa2+に強く依存することが判明した。また、小胞体からのCa2+放出を検討した結果、20 nsが小胞体からのCa2+放出を優位に引き起こすことが示唆された。