窯業協會誌
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脱アルカリ処理されたソーダ・石灰・珪酸ガラス壜の化学的耐久性
赤木 三郎
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1977 年 85 巻 983 号 p. 317-324

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抄録

硫黄を含むガス (580℃), または酸性やアルカリ性の水溶液 (90℃) で処理したソーダ・石灰・珪酸ガラス製壜の化学的耐久性ならびに表面層の状態について調べた. これら処理壜からpH 4.0-9.0の試験溶液に溶出したガラス成分の定量, フレーク発生状況の観察, ならびにガラス表面層の赤外線反射スペクトルの測定を行って, 次の結果を得た.
弱酸性ないし中性水溶液に対する処理ガラス壜の化学的耐久性は, 脱アルカリ処理によってガラスから溶出したアルカリ酸化物と珪酸との比 (脱アルカリ率) に対応して向上した. しかし, 弱アルカリ性水溶液に対する抵抗性の増加については, ガス処理壜の場合を除いて, 脱アルカリ処理の効果はみられなかった. 硫黄を含むガスで処理されたガラス壜における化学的耐久性の著しい改善は, ガラス表面層のSi-O結合力の増大に関連しているのでないかと考えられる.

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© The Ceramic Society of Japan
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