窯業協會誌
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2000℃までの電子顕微鏡用高温載物台とそのCaO-SiO2系固相反応への応用
高木 茂栄木村 力
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1977 年 85 巻 983 号 p. 324-329

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抄録

高温における固相同志の反応のキャラクター推移を明確に記載することにより固相反応の機構を明らかにする目的で, 超高電圧電子顕微鏡に組込める高温炉の試作をもくろみ, この応用のもとでCaO-SiO2系高温固相反応をin situに観測, 記録することにより今まで報告された例のない新しい知見が得られた.
高温炉はタンタル線をヒーターとした二条巻きとし, 絶縁ならびに接ぎ目はBNで, 反射板にモリブデン薄板を用いた傍熱方式で常用2000℃に耐え, 超高電圧電子顕微鏡に組込んだ状態では観測倍率10000倍で室温から1500℃までの繰返し昇温実験の結果, 像の移動は1μm以内, ゆらぎは皆無であった.
CaO-SiO2系の固相反応で得られた知見は1300℃近傍までは緩慢に, 1500℃に至ると急激にCaO側からSiO2側に侵蝕が進む. とくにin situ観測で明らかにされた興味ある事実は物質移動に先駆現象が先行することであって, 先駆層の成長と反応生成相の成層とが互にinduction periodを伴いながらpinching gameを繰返して進行することである. これは固相反応機構を説明する上に極めて重要な知見となった.

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© The Ceramic Society of Japan
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