窯業協會誌
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85 巻, 983 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 高嶋 廣夫, 斎藤 肇
    1977 年 85 巻 983 号 p. 311-317
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    珪酸塩ガラスの表面が水蒸気によって侵蝕される状態を赤外線反射スペクトルを用いて検討した.
    珪酸塩ガラスが水蒸気によって侵蝕された場合, Si-O-Si結合による主ピークはシフトしシャープになる. またSi-O-によるピークの波高は低下した. このようにガラスの水蒸気侵蝕後においてK2O-SiO2系ガラスでは主ピークは低波数側にシフトしたが, Na2O-SiO2系ガラスでは高波数側にシフトし, 侵蝕機構の違いが観察された.
    Na2O-SiO2系ガラスにCaイオンを導入して耐水蒸気侵蝕性が向上するのを赤外線反射スペクトルによって観察した. 例えば25Na2O・75SiO2ガラスでは短時間でスペクトルの変化がみられたが, 15Na2O・20CaO・75SiO2ガラスでは144時間のような長時間侵蝕させてもスペクトルの変化はなかった.
  • 赤木 三郎
    1977 年 85 巻 983 号 p. 317-324
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    硫黄を含むガス (580℃), または酸性やアルカリ性の水溶液 (90℃) で処理したソーダ・石灰・珪酸ガラス製壜の化学的耐久性ならびに表面層の状態について調べた. これら処理壜からpH 4.0-9.0の試験溶液に溶出したガラス成分の定量, フレーク発生状況の観察, ならびにガラス表面層の赤外線反射スペクトルの測定を行って, 次の結果を得た.
    弱酸性ないし中性水溶液に対する処理ガラス壜の化学的耐久性は, 脱アルカリ処理によってガラスから溶出したアルカリ酸化物と珪酸との比 (脱アルカリ率) に対応して向上した. しかし, 弱アルカリ性水溶液に対する抵抗性の増加については, ガス処理壜の場合を除いて, 脱アルカリ処理の効果はみられなかった. 硫黄を含むガスで処理されたガラス壜における化学的耐久性の著しい改善は, ガラス表面層のSi-O結合力の増大に関連しているのでないかと考えられる.
  • 高木 茂栄, 木村 力
    1977 年 85 巻 983 号 p. 324-329
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高温における固相同志の反応のキャラクター推移を明確に記載することにより固相反応の機構を明らかにする目的で, 超高電圧電子顕微鏡に組込める高温炉の試作をもくろみ, この応用のもとでCaO-SiO2系高温固相反応をin situに観測, 記録することにより今まで報告された例のない新しい知見が得られた.
    高温炉はタンタル線をヒーターとした二条巻きとし, 絶縁ならびに接ぎ目はBNで, 反射板にモリブデン薄板を用いた傍熱方式で常用2000℃に耐え, 超高電圧電子顕微鏡に組込んだ状態では観測倍率10000倍で室温から1500℃までの繰返し昇温実験の結果, 像の移動は1μm以内, ゆらぎは皆無であった.
    CaO-SiO2系の固相反応で得られた知見は1300℃近傍までは緩慢に, 1500℃に至ると急激にCaO側からSiO2側に侵蝕が進む. とくにin situ観測で明らかにされた興味ある事実は物質移動に先駆現象が先行することであって, 先駆層の成長と反応生成相の成層とが互にinduction periodを伴いながらpinching gameを繰返して進行することである. これは固相反応機構を説明する上に極めて重要な知見となった.
  • 高橋 健太郎, 持田 統雄, 吉田 裕
    1977 年 85 巻 983 号 p. 330-340
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    0.20Na2OxMO2(0.80-x)SiO2, 0.30Na2OxMO2(0.70-x)SiO2(M: Ge, Ti, Sn, Zr, Th) 2系列のガラスのモル体積, MO2の部分モル屈折, 熱膨脹係数, 転移点, ヴィッカース硬度, 赤外吸収スペクトルなどの変化から, ガラス中のこれら四価陽イオンの挙動を調べた.
    これらのガラス中で, Sn4+, Zr4+, Th4+はそれぞれ6, 6, 8配位をとり, NWMとしてふるまう. GeO2系のNa2O 20mol%系列では, GeO2約40mol%まではGe4+の一部が6配位するがそれ以上では新しく置換したGe4+の大部分が4配位化しNWFとなる. 一方, 同系のNa2O 30mol%の系列では, 全域でGe4+のごく一部しか6配位化せず, 大部分は4配位となる. TiO2系では, 両系列ともTiO2置換量が少ない組成でほとんど全てのTi4+が6配位する. そして, Na2O 20mol%の系列ではTiO2 10-20mol%以上で, 30mol%の系列では約25mol%からTi4+の平均配位数が減少する.
    前3者は, 三価のSc3+, Y3+, In3+と同様に, NWMであるがそのCFSが強いためガラス構造を強化する. 6配位のGe4+, Ti4+は, 同様な効果をもつが前3者に比べその効果が小さく, 典型的なNWMには分類できない.
  • 宮内 克己, 戸田 堯三
    1977 年 85 巻 983 号 p. 340-345
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用い, PLZT-7.6/70/30の化学腐蝕像, 強誘電分域構造, およびこれらの結晶粒径依存性を研究した. 強誘電分域や結晶粒界を出現させる方法として化学腐蝕法を使用した. 光散乱損失の小さい反強誘電相では, 結晶粒界のみ腐蝕され, 分域壁は観察されなかった. しかし, 強誘電相では, 各残留分極状態に対応して, 複雑な構造が観察された. これらの構造は, 分極処理状態では0.3-1μmの縞状分域, また交流消極状態では非常に複雑かつ小さい分域となっていた. 分極電場に平行および垂直な面内の腐蝕像の観察結果より, 分極処理状態では, 分域は結晶粒内で層状構造をしていることがわかった. 各残留分極状態に対応する光散乱特性と分域サイズの関係より, 強誘電分域壁は光散乱中心として重要な役をなしていると思われる. 平均結晶粒径が3.2-13.8μmの試料について分域構造を検討した結果, 分域サイズ (縞状分域の間隔) は, 結晶粒径に無関係に一定であることがわかった. この結果から, 光散乱が分域壁の数によって影響されるという考え方では, 光散乱の粒径依存性を説明できないと言える.
  • 野村 修身
    1977 年 85 巻 983 号 p. 346-354
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    現在, 通産省の大型プロジェクトの一環として研究開発が進められている. ベースロード用MHD発電機のセミホット発電ダクトは, 緻密質の耐熱セラミックスで内壁を構成するのが有望とされている. この材料は, 作動ガスのアブレイジョンに対してはかなり強いが, 熱応力に対しては弱いことが知られている. ところで, 燃焼方法を制御すれば, 非定常熱応力 (特に熱衝撃) による損傷をさけることが出来るが, 材料の物性値が温度変化に伴って大きく変るので, 材料の内部に温度分布があれば, 定常状態においても, 大きな熱応力が発生するおそれがあり, 発電ダクトを設計するには, 定常熱応力による損傷が生じないよう考慮する必要が明らかとなった. 本論文はこの定常熱応力が, 材料の損傷を引き起こさない条件を, 求める方法を研究し, 発電ダクト設計の一項目として, 提案するものである. 数値例には, セミホット発電ダクト壁絶縁材料に有望とされている, 緻密質マグネシアセラミックスについて解析した. その結果, 材料の表面温度を1400Kに設計する場合, 裏面温度をそれぞれ, つぎの値以上に設計しなければならないことがわかった. 785K (縦横比γ=0.5), 625K (γ=1.0), 470K (γ=2.0).
  • 西川 友三, 西田 俊彦, 宇野 哲夫
    1977 年 85 巻 983 号 p. 354-358
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-アルミナ焼結体の結晶粒子配向に対する濾過成形の影響について調べた. 平板状β-アルミナ粉末はβ-アルミナ質熔融鋳造煉瓦をボールミル粉砕することによって作った. 平板状β-アルミナ粉末のスラリーを濾過成形する前に, この粉末を熱濃硫酸中に漬け, H+-β-アルミナに変えた. このH+-β-アルミナのスラリーを濾過成形し, その後濾過成形と同じ方向から圧力をかけてホットプレスした. ホットプレス中, H+-β-アルミナはα-アルミナに変わり, H+-β-アルミナのc面はα-アルミナのc面に変った. α-アルミナの結晶粒子中のc面の配向度はLotgeringの方法とinverse pole figure plotで調べた. これらの配向度は, (1) 濾過成形もホットプレスもしない場合, (2) 濾過成形をせずホットプレスのみを行った場合, (3) 濾過成形を行いホットプレスを行わなかった場合, などについて得られたα-アルミナ焼結体の配向度と比較した. その結果, 濾過成形はホットプレスの粒子配向に対する効果と同じ程度の効果をもっていることが分った. また, 濾過成形, ホットプレスの両方の操作を同時に行うと良く配向したα-アルミナ焼結体が得られるということも分った.
  • 熊田 虔, 山本 和直, 並河 洋
    1977 年 85 巻 983 号 p. 359-366
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CdOが45-55mol%占めるCdO-SiO2系ガラスでフォトクロミズムを見い出した. この系に数mol%のアルカリ, アルカリ土類あるいはAl2O3を添加すると, その特性を大幅に変化させることなくガラスを安定に作成し得る.
    このフォトクロミズムの特徴は, 吸収端付近の暗化光で誘起された吸収帯が可視全域にわたる広いもので, 退色速度は遅く, 半退色時間は2時間に及ぶことである. 熱退色時に熱発光が観察された. 光学的に暗化, 退色を1000回繰り返したが疲労は観察されなかった.
    SiO2をB2O3, P2O5, GeO2などの他のNWFで置換した場合, 暗化度は大幅に減少した. これはCdOとSiO2の組合せが, この種のガラスのフォトクロミズムに対する重要な要因であることを示している. また, Cu, Mn, Fe, Ceなどの0.1mol%添加は暗化を著しく妨げる.
    暗化および退色過程で暗化度と対応して光伝導が観察されることから, この種のフォトクロミズムには内部光電効果により発生した光電子の拡散過程が関与していると思われる.
  • 1977 年 85 巻 983 号 p. A37-A40
    発行日: 1977/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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