窯業協會誌
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ビトリアスチャイナの締焼き条件とその貫入抵抗性について
陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第7報
稲田 博
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1978 年 86 巻 994 号 p. 284-291

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抄録
種々の焼成条件で締焼きしたビトリアスチャイナ素地中の結晶量と釉応力を測定した. 素地を単独窯でSK 9からSK 121/2までの種々の温度で締焼きすると, 焼成温度の上昇とともに石英量は減りクリストバライト量は増加するが, 合計としての全結晶量は減少し, 釉の圧縮応力もしたがって減少を示した. これは, 冷却が速いため, クリストバライトの析出が充分でないためと考えられ, 短時間焼成では焼け過ぎは貫入によくないことを示す.
これに対し大型トンネル窯では素地は高温にさらされて大量の石英が溶解しても, それに相応してクリストバライトが生成するため, 全結晶量は焼け過ぎによっても急減せず, 貫入発生限界を下まわることなく, 特に長時間焼成ほど貫入に対して安全であった.
トンネル窯焼成台車の “外身” の下段, 前後部の下段は通常は焼けがあまいが, 時として炎が強く当たり焼け過ぎが出た時は急冷のためクリストバライトは充分生成せず, 時に貫入抵抗性の悪いものが出るおそれがある. 上段焼成では仮に高温にさらされても徐冷されるため, クリストバライトが充分生成し, 全結晶量は貫入発生限界を上まわり, 常に貫入に対してより安全であることが分った.
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© The Ceramic Society of Japan
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