1984 年 92 巻 1063 号 p. 112-117
ガラスの物性と構造の関係を求めるためにイオンポテンシャルを仮定してハロゲン化物ガラスの分子動力学計算を行った. 本研究では, 特にBeF2ガラスを中心にシミュレーションを行い, 熱的, 及び弾性的性質に関連する内部エネルギー, 比熱, 熱膨張係数, ガラス転移温度, 等温圧縮率, グリュナイゼンパラメーター, 及び赤外吸収スペクトルを算出し, 実験値と比較するとともに, 結合力がBeF2と少し異なるCaF2とZnCl2ガラスにも適用した. その結果, シミュレーションにより合成したガラスの物性値と実験値とはよく対応しており, 本質的な差は認められなかった. ただ, 物性値の中で, 圧縮率を求める際には, かなりのステップ数が必要であった. 以上より, 分子動力学法をハロゲン化物ガラスに適用することにより, 元素の違いによるガラスの物性及び構造の変化を予測することが可能であると思われた.