抄録
ポアフリーで, 電気的特性ばらつきが小さい弾性表面波フィルター用圧電セラミックスの製造方法について検討するとともに, 中心周波数11-90MHzの弾性表面波フィルターを試作した.
Pb(Sn1/2Sb1/2)O3-PbTiO3-PbZrO3-MnO2系圧電セラミックスを空気中で焼成すると1150℃からポアの生成が始まるが, 酸素中では, ポアフリーなセラミックスが得られ, 密度は1.3%上昇した. この組成系では, 反応中間相であるパイロクロア相Pb2SnSbO13/2が粒成長を抑え, 球状粒子を形成すると同時に, ポアを焼成体外へ素早く排出するものと考えられた.
ポアフリーセラミックスの鏡面状態での表面粗さは0.05μm以下であり, 90MHz用すだれ状電極 (電極幅6.7μm) を容易に形成することができた. 酸素中焼成のものは空気中のものに比べ縦波モードで20m/s (約0.8%, ヤング率換算で3.0%), 弾性表面波モードで27m/s (約1.1%) それぞれ音速が増大した. 弾性表面波速度のばらつきσ/xは基板内で0.10%以下, ロット内で0.15%以下であり, 単結晶並の特性をもつことが明らかとなった. また弾性表面波の減衰は周波数範囲90MHz以下では主にセラミックスの内部摩擦からくるものと考えられた.