窯業協會誌
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92 巻, 1069 号
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  • 5配位Alの測定
    白 友兆, 福島 整, 合志 陽一
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 475-480
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高分解能蛍光X線装置で幾つかの化合物のAlKαスペクトルを測定し, AlKαによるAlイオンの配位状態分析方法について詳細な検討を行った. その結果, まず, AlKαのシフトとプロファイル両方から単一配位と混合配位状態の判別方法を確立した. また, アンダルサイト中の5配位Alイオンの測定結果と分子軌道法による理論計算結果により, 5配位Alイオンのシフトは4配位と6配位のシフト領域の間の中間領域に入ることを証明した. それを踏まえ, シリマナイト中のAlイオンは5配位ではなく, 4配位と6配位の混合であることと, CaO・6Al2O3中のAlイオンは4配位と6配位の混合ではなく, 5配位と6配位の混合であることを明らかにした. また, 4CaO・Al2O3・Fe2O3など混合配位化合物の各配位成分に対しては, 非線型最小二乗法に基づくピーク分離法を用いれば, 良い定量結果を得られることが明らかになった.
  • 吉丸 克彦, 植田 安昭, 森永 健次, 柳ヶ瀬 勉
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 481-486
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Rb2O-, K2O-, Na2O-及びBaO-TiO2の2成分系のガラスをスプラット・クェンチング法により作製し, ガラス生成領域を決定するとともに, ガラス中のTi4+の酸素配位数を赤外線分光法 (IR) 及び光音響分光法 (PAS) により推定した. 電子線回折で確認したガラス生成領域は推定冷却度が高くなると広く, また添加酸化物の塩基度が大きいほどガラスを生成しやすい傾向を示した.
    これらガラスのPASスペクトルはIRスペクトルよりもTi4+の酸素配位数の変化を反映する傾向を示した. 2成分チタネートガラス中ではTi4+(4) とTi4+(6) が共存し, その存在割合を支配する因子はガラスの塩基度と考えられた. PASスペクトルの計算機解析によって2成分チタネートガラス中の酸素4配位したTi4+(4) と酸素6配位したTi4+(6) の存在割合を計算した. すなわち, Ti4+(4) はガラスの塩基度の増加に伴い増加する傾向を示し, このTi4+(4) の存在割合は塩基性酸化物陽イオンのイオンポテンシャルを用いた塩基度パラメーターで系, 組成によらず整理できることを見いだした. また本実験からPASがTi4+の酸素配位数を検討する上で有用な分光法と考えられる.
  • 原谷 賢治, 進藤 勇治, 白田 利勝, 吉留 浩, 梛良 積, 神谷 和夫, 大塚 邦夫, 尾野 幹也
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 487-491
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    膨潤性人工フッ素雲母の微粉体から多孔質膜を形成した. 走査型電子顕微鏡及び水銀圧入法により膜の細孔構造の観測を行った. また膜の気体透過性を種々の気体に関して測定し, 細孔構造との関連で考察した. 人工フッ素雲母膜には, 70000nm, 20000nm, 300nm及び4nm以下に分布極大値を持つ4種の細孔が観測され, 気体透過特性はクヌーセン流と粘性流の中間域の式に従った. 中間域の式とHeの透過データから算出される膜の動水半径は150nmとなった. He/Ar系での気体分離性は圧力に依存し高圧下では減少した. これは気体異分子間の衝突 (Present-de Bethune効果) や粘性流の影響によるものと考えられる. 分離係数の実測値と, Present-de Bethune式による計算値は, 細孔半径80nmと仮定した場合に良い一致が見られた.
  • 田中 博夫, 矢沢 哲夫, 江口 清久, 山黒 隆夫
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 492-497
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    分相させたナトリウムホウケイ酸ガラスを酸で溶出して多孔質ガラスを作るとき, ホウ酸相に含まれるシリカがコロイド状になって多孔骨格内に析出する. このコロイドは細孔容積を減少させ, 多孔質ガラスを通しての物質移動を著しく妨げる. 細孔容積の大きい多孔質ガラスを作るため, 棒状試料の直径及び溶出に用いる酸の濃度がコロイドの析出量に及ぼす影響を調べた. 試料直径が小さくなると, ホウ酸相中のシリカは溶出時に酸に溶解して試料から出て行くようになり, コロイドの析出が減少して細孔容積は増加した. また, 酸濃度を減少させても同様のことが起こり, 細孔容積が増加した. 更に, 得られた多孔質ガラスを酸で洗うと, コロイド状シリカや多孔骨格が酸に溶解し, 細孔容積が増加した. これらの条件を選べば, 細孔容積の大きい多孔質ガラスが得られる.
  • 横倉 修一, 岡田 稔
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 498-503
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    飲料びんが充てん工場の送びん工程で受ける加傷について, 実験用送びんコンベアを用いて検討を行った. 試料びんとしてはリターナブルびん (重量605g) を用い, 所定長さのコンベア上を繰り返し送びんを行い, びん外表面の加傷 (すり傷及び当たり傷) の発生度合いについて検討を行った. またその際の発生音について周波数分析並びに音圧レベルの測定を行い, 送びんスピードとの関係についても併せて検討を行った. その結果以下のような知見が得られた.
    (1) すり傷の発生についてみると, 同一加傷度の場合には送びんスピードと送びん距離の間に両対数で負の直線関係が認められた.
    (2) 当たり傷についてみると, 当たり傷 (小) (Herztion coneの長径が1.5mm以下) が発生する限界衝撃エネルギーは0.3 Joule程度であることが分った. この値から当たり傷が発生しないための適正送びんスピードをびん重量との関係において理論的に算出し得た.
    (3) 送びんスピードと発生音の音圧レベルの間には直線関係が認められた. したがって音圧レベルを測定することにより, 間接的にびんの加傷度を推定し得ると考えられる.
  • 原野 公夫, 矢島 弘一, 山口 喬
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 504-509
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    厚膜導体用ガラス・フリットのアルミナ基板への広がりを評価する方法として, Spreading ratioを提案し, 75 wt% PbO-SiO2を基本組成とし, Al2O3, ZnO, MgO及びB2O3を含むガラスを調製し, 96%アルミナ基板上での広がり及び反応を調べた. 更に, ガラスのアルミナ基板への広がりを支配する因子を明らかにするために, フッ酸処理した99%アルミナ基板, 99%アルミナ基板, サファイア及び溶融シリカを用い, Spreading ratioを求めた. 主な結果は次のとおりである. なお, ガラスによる基板の濡れは, 基板上に広がったガラスの面積の増加率として定義した.
    (1) PbO-SiO2系ガラスの96%アルミナ基板上での広がりは, ZnO及びMgOの添加により促進されるが, Al2O3及びB2O3により抑制される.
    (2) PbO-SiO2系ガラスは96%アルミナ基板中に侵入し, 反応層を形成する. その深さはZnOが最も大きく, Al2O3, MgO, B2O3がこれに次ぐ. ZnOを含むガラスでは, 850℃以上でZnOとAl2O3の化合物が生成した.
    (3) PbO-SiO2及び第3成分にAl2O3を含むガラスの広がりは. アルミナ基板中のガラス相によって支配され, ZnO及びB2O3を含むガラスでは基板中のアルミナとの相互作用に依存し, MgOを含むガラスではアルミナ基板中のガラス相とアルミナ粒界に依存することが推測された.
  • 小川 敏夫, 脇野 喜久男
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 510-519
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ポアフリーで, 電気的特性ばらつきが小さい弾性表面波フィルター用圧電セラミックスの製造方法について検討するとともに, 中心周波数11-90MHzの弾性表面波フィルターを試作した.
    Pb(Sn1/2Sb1/2)O3-PbTiO3-PbZrO3-MnO2系圧電セラミックスを空気中で焼成すると1150℃からポアの生成が始まるが, 酸素中では, ポアフリーなセラミックスが得られ, 密度は1.3%上昇した. この組成系では, 反応中間相であるパイロクロア相Pb2SnSbO13/2が粒成長を抑え, 球状粒子を形成すると同時に, ポアを焼成体外へ素早く排出するものと考えられた.
    ポアフリーセラミックスの鏡面状態での表面粗さは0.05μm以下であり, 90MHz用すだれ状電極 (電極幅6.7μm) を容易に形成することができた. 酸素中焼成のものは空気中のものに比べ縦波モードで20m/s (約0.8%, ヤング率換算で3.0%), 弾性表面波モードで27m/s (約1.1%) それぞれ音速が増大した. 弾性表面波速度のばらつきσ/xは基板内で0.10%以下, ロット内で0.15%以下であり, 単結晶並の特性をもつことが明らかとなった. また弾性表面波の減衰は周波数範囲90MHz以下では主にセラミックスの内部摩擦からくるものと考えられた.
  • 井上 耕三, 吉田 章
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 520-524
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    南九州に広く分布するガラス質に富んだ火山灰の一種であるシラスの高品位窯業原料化を目的としてシラスの酸脱鉄を検討した. 塩酸, 硫酸, 過塩素酸を用いて, 処理温度, 処理時間及び試料粒径の脱鉄作用に及ぼす影響を調べた. またN2ガス吸着から酸処理に伴って変化するシラス表面の状態を観察した.
    鉄溶出量は, 酸処理開始とともにすみやかに増加し, 一定値に近づいた. 酸濃度が高いほど, 鉄溶出量は増加した. 鉄溶出量は塩酸が最も大きく, 以下, 硫酸, 過塩素酸の順であった. 処理温度が高いほど, 一定値に近づく時間は短くなったが, 処理時間が長くなると処理温度が異なっても鉄溶出量はほぼ同じになった. 試料粒径が小さいほど, 鉄溶出量は大きくなった. 粒径が小さいほど, シラス自体の溶解が進行し, 酸処理物の比表面積は酸処理時間とともに増加した. しかし, シラス中のガラス質粒子中に含まれる鉄分の酸溶出が難しいため, 酸処理によってシラス全体の鉄分を0.9wt%以下にすることは困難であることが判明した.
  • 小山田 了三, 古賀 秀人, 星野 朝則
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 525-529
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    PbO-SiO2-CuO及びPbO-SiO2-K2O-Na2O-CuO系ガラス中のCu2+イオンの光吸収スペクトルを測定し, ガラス組成と吸収ピーク波数との関係を調べた. その結果, PbO-SiO2-CuO系ガラス中のCu2+の吸収ピーク波数は [PbO]/[SiO2] 比の増加とともに高波数側ヘシフトすることが分った.
    PbO-SiO2-K2O-Na2O-CuO系ガラス中のCu2+の吸収ピーク波数の混合アルカリ効果は [PbO]/[SiO2] 比により現れ方が異なる. [PbO]/[SiO2]=0.64の場合, ピーク波数は [K2O]/[K2O+Na2O] 比の増加とともに低波数側ヘシフトする. [PbO]/[SiO2]=1.0の場合もピーク波数は [K2O]/[K2O+Na2O] 比の増加とともに低波数側ヘシフトし, [K2O]/[K2O+Na2O]=0.7付近に極小が存在する. [PbO]/[SiO2]=1.5の場合, 極小が [K2O]/[K2O+Na2O]=0.35付近に存在し, このとき混合アルカリ効果が最も顕著に現れる.
    次に, PbO-SiO2-K2O-Na2O-CuO系ガラスの組成と屈折率の関係を調べた. 屈折率には混合アルカリ効果が現れず, [K2O]/[K2O+Na2O] 比の増加とともに屈折率が直線的に小さくなった.
  • 板谷 清司, 岸岡 昭, 木下 真喜雄
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 530-533
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZrP2O7を0.1mol%, 0.5mor%, 1.0mol%及び3.0mol%の濃度で添加したMgO試験片について, 液相が存在するときの焼結挙動を昇温法 (室温-1450℃) 及び定温法 (1450℃, 5h) によって検討した.
    MgOのち密化はZrP2O7が1.0mol%以下の添加量において1300℃以上で抑制されたが, 3.0mol%添加試料においてそれは促進された. MgOのち密化挙動がZrP2O7の添加量によって異なるのは1300℃以上で生成するMgO-Mg3(PO4)2系液相量の違いによるものと考えられた. すなわち, 粒子全体を被覆した液相が粒子の再配列をうながし開放気孔を減少させるために, MgOのち密化が促進されることが分った.
  • 猪股 吉三
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 534
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 小松 和蔵, 守吉 佑介, 伊熊 泰郎
    1984 年 92 巻 1069 号 p. 535
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 92 巻 1069 号 p. A48-A50
    発行日: 1984/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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