厚膜導体用ガラス・フリットのアルミナ基板への広がりを評価する方法として, Spreading ratioを提案し, 75 wt% PbO-SiO
2を基本組成とし, Al
2O
3, ZnO, MgO及びB
2O
3を含むガラスを調製し, 96%アルミナ基板上での広がり及び反応を調べた. 更に, ガラスのアルミナ基板への広がりを支配する因子を明らかにするために, フッ酸処理した99%アルミナ基板, 99%アルミナ基板, サファイア及び溶融シリカを用い, Spreading ratioを求めた. 主な結果は次のとおりである. なお, ガラスによる基板の濡れは, 基板上に広がったガラスの面積の増加率として定義した.
(1) PbO-SiO
2系ガラスの96%アルミナ基板上での広がりは, ZnO及びMgOの添加により促進されるが, Al
2O
3及びB
2O
3により抑制される.
(2) PbO-SiO
2系ガラスは96%アルミナ基板中に侵入し, 反応層を形成する. その深さはZnOが最も大きく, Al
2O
3, MgO, B
2O
3がこれに次ぐ. ZnOを含むガラスでは, 850℃以上でZnOとAl
2O
3の化合物が生成した.
(3) PbO-SiO
2及び第3成分にAl
2O
3を含むガラスの広がりは. アルミナ基板中のガラス相によって支配され, ZnO及びB
2O
3を含むガラスでは基板中のアルミナとの相互作用に依存し, MgOを含むガラスではアルミナ基板中のガラス相とアルミナ粒界に依存することが推測された.
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