窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
結晶質チタニア水和物繊維による水溶液中の2価遷移金属の固定
藤木 良規佐々木 高義小松 優
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 93 巻 1077 号 p. 225-229

詳細
抄録

高レベル放射性廃液処理の観点から水溶液中の2価遷移金属イオンの固定化がイオン吸着材として結晶性チタニア水和物 (H2Ti2O5nH2O) 繊維を用いて研究されている. 各金属イオンは2価遷移金属酢酸塩の水溶液から吸着材に飽和吸着させた. 吸着金属イオンは焼結処理により種々なチタン酸塩鉱物の主成分として格子中に固定化された. 銅イオンはルチル及び複雑な結晶構造を有するCu2TiO3相とCu3TiO4相の鉱物集合体に固定化された. 亜鉛イオンはルチルと逆スピネル構造のZn2TiO4相の鉱物集合体に固定化された. マンガン, コバルト, ニッケルの各金属イオンはルチルとイルメナイト構造のMTiO3 (M=Mn, Co, Ni) 相の同じ鉱物集合体に固定化された. これらの固定化体中のルチルは最も多量でマトリックス鉱物として存在している.
固定化体中の各金属イオンの浸出率が大気圧及び水熱条件下で測定された. 前者の結果はマンガンイオンの最大3.2×10-9g・cm-2・d-1高浸出抵抗で非常に安定であることを示した. 後者の結果はまたニッケルイオンの最大9.1×10-9g・cm-2・d-1で非常に安定であることを示した.

著者関連情報
© The Ceramic Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top