1985 年 93 巻 1077 号 p. 257-260
Li2O・2SiO2ガラスを結晶化させて, その内部摩擦を1Hz付近のねじり振動と40kHz付近の縦振動を用いて測定し, 結晶化に対する低温及び高温ピークの挙動について調べた. これらのピーク高さは結晶化の進行で減少していくことが観察された. また結晶度が50%を超えたところで両ピークとも消滅することが分った. これらのピークの減少, 消滅はガラス質中の緩和要素, すなわちピークに関与している不安定なアルカリイオン及び非架橋酸素の減少, 消滅に対応しているものと考えた. 結晶化が更に進むと新たなピークが高温ピークの温度域より高いところで発生するのが観察された. このピークは結晶化とともにピーク高さが増加することから, Dayらのいうガラスの不均質構造に基づくクラスターの存在のため又はガラス相と結晶相との相互作用のためという考え以外に, 結晶粒界のすべりのためという考えもあり得ることを示した.