2023 年 38 巻 p. 9-16
両面補強土壁は橋台へのアプローチ盛土に適用される場合があるが,地震時挙動や破壊形式が明確ではなく設計方法が確立されていない.そこで,本研究ではジオテキスタイルを用いた両面補強土壁模型に対する1G場の振動台模型実験を行った.実験では,両側の補強領域に挟まれた無補強領域の幅を変化させて補強土壁の地震時挙動と破壊形式を確認した.その結果,両側の補強領域が離れている場合はそれぞれの補強土壁は独立的な挙動と円弧すべりに近い破壊挙動を示し,盛土幅が狭く補強領域内でジオテキスタイルが干渉する場合は裏込め土のゆすり込み沈下が卓越する挙動を示した.本論文では,模型実験で確認された両面補強土壁の地震時挙動について報告し,両面補強土壁の破壊形式に基づいた安定計算の考え方を提案する.