日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
褥瘡患者における日本語版EuroQolの看護師代理回答の信頼性と妥当性の検討
貝谷 敏子神島 滋子中村 惠子安部 正敏福田 敬真田 弘美
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 27 巻 1 号 p. 55-66

詳細
抄録

 褥瘡管理では、患者の価値に基づく医療を基本とした患者主体のアウトカムquality of life:QOLを評価していくことが重要である。しかし、褥瘡患者のQOLを評価した報告は少なく、本邦における研究は皆無である。先行研究では、代理人EuroQol(EQ-5D)による評価のなかでも特にプライマリー介護者による評価は信頼性と妥当性に優れているとの報告がある。本研究の目的は、日本語版EQ-5D-5Lを用いて本邦の褥瘡患者のQOL実態、および医療者からの代理評価で得た効用値の信頼性と妥当性を検討し、看護師が代理回答した値の適応可能性を評価することである。16施設より151名(68.8±16.4歳)の患者、34名の看護師の参加が得られた。患者評価の効用値とVASは0.41±0.24、50.4±23.1であった。効用値と慢性創傷に特異的な尺度であるThe Freiburg Life Quality Assessment wound module(FLQA-w)との併存妥当性はrs = -0.62であった。患者と看護師の評定者間信頼性では、効用値とVASは0.70(P<0.01)、0.54(P<0.01)であった。既知集団妥当性では、創が深くなるに従い効用値が低くなる傾向がみられた。患者のケアを日常的に提供している看護師によるEQ-5Dを用いた代理回答は、褥瘡患者の定量的なQOL評価として活用できる可能性が示唆された。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top