ジオシンセティックスシンポジウム発表論文集
Online ISSN : 1884-3719
Print ISSN : 1344-3496
壁面工の種類を変えたジオテキスタイル補強土壁の実物大崩壊実験の比較
田尻 宣夫塚田 義明山本 純落合 良隆土橋 聖賢
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1995 年 10 巻 p. 37-46

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抄録

構造物の安定および変形に対する壁面工の寄与を確認することを目的として,高さ6mの異なる種類の壁面工を用いた実物大の補強土壁の崩壊実験を行った。その結果,以下の知見が得られた。
(1) 施工時の変位はEPSブロックの方がコンクリートブロックよりも大きく,壁面工の重量効果によって施工中の変形が抑制される。また,分割パネルの場合は変形が大きくなる。
(2) いずれの壁面工においても壁面下端には自重以上の荷重が発生する。
(3) 施工完了後の補強材に発生する最大引張力分布は,壁面工の効果を考慮しない設計引張力に対して同等(上半分3m)ないし小さく(下半分3m),壁面工の縦剛性の大きいものほどその傾向が強い。
(4) ブロックタイプの壁面工において敷設した安定補助材も,主補強材と同程度の引張力が発生し,安定性に寄与している。
(5) 崩壊後のすべり線の形状は,EPSブロックが現行の設計法による円形すべりに最も近く,コンクリートブロックでは,クーロンの主働崩壊線に近い円形べり,コンクリートパネルでは2直線すべりに近い形状となった。また,崩壊は剛性と重量効果の低い壁面工ではクリープ的に進行した。

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© 国際ジオシンセティックス学会日本支部
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