ジオシンセティックスシンポジウム発表論文集
Online ISSN : 1884-3719
Print ISSN : 1344-3496
コンクリートブロックを用いたジオテキスタイル垂直補強土壁の試験施工
中嶋 智樹大木 祐司尾田 賢治宮武 裕昭土橋 聖賢
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1995 年 10 巻 p. 47-56

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抄録
ジオテキスタイル補強土壁は、高剛性のフェーシングによって、より高い安定性と変形抑制効果が得られることが知られている。そこで、壁面工に大型コンクリートブロック(高さ50cm、幅100cm、厚さ35cm)を用いた高さ8mの垂直補強土壁の試験施工を行った。施工中は、補強材ひずみ、壁面水平変位、壁面工基礎および盛土内沈下量、鉛直土圧、水平土圧について計測を実施し、完成後は、長期安定性について検討するために、動態観測を実施している。試験施工によって得られた知見の概略を以下に示す。
・完成時の最大補強材ひずみは約1%であり、安定上は何等問題なく施工を完了した。また施工性も比較的良好であり、実用上有効な工法と考えられる。
・安定補助材には、主補強材と同等のひずみが発生し、補強土壁の安定に対する寄与が大きい。
・完成時の最大水平変位量は、壁高さ中間部で65mmとなつた。
・鉛直土圧は、壁面背後で盛土材自重相当であるのに対し、壁面基礎直下では、コンクリートブロック自重の2倍もの大きな値を示した。
・施工完了後の壁面水平変位と壁面基礎沈下の推移は連動する傾向にあり、剛性の高い壁面工を有する補強土壁では基礎部の処置が重要である。
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© 国際ジオシンセティックス学会日本支部
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