1992 年 1 巻 1 号 p. 4-13
筆者らが行っている種々の血行再建のうら,STA-MCA吻合,long radial artery graft, A_3-A_3吻合に焦点をしぼり,主に技術的な面での創意工夫を紹介した.主な工夫点としては,視認性の向上のために血管断端にピオクタニンを塗布する点や,2本の針糸で交互に縫合をすすめる際には,1本目の針を刺したまま2本目を刺す方法(マチバリ方式),器具の持ちかえを減らすため,待針器は用いずピンセットで縫合するなどであるが,深部での吻合やgraftの扱い方などについても具体的に紹介した.また,graft materialとして,一般的に普及している大伏在静脈を用いずに橈骨動脈を用いている点に関して,若干の考察と私見を加え報告した.