1992 年 1 巻 1 号 p. 35-40
頸部頸動脈閉塞性病変に対する血栓内膜切除術は,きわめて高い安全性が要求される手術である.本手術法を論じる場合,常に問題となるのが血流遮断の際シャントを用いるか否かである.われわれはこれまで120例126件の本手術を,全例シャントを用いることなく行ってきた.Mannito1投与による脳保護,手術用顕微鏡による血管内操作,血圧の厳重なコントロールがそのポイントである.手術による死亡および後遺症は3例,2.5%に認めたが,うち血流遮断が原因と思われる症例は1例のみであった.これら自験例の治療成績につき報告し,あわせてシャント非使用手術の安全性および術中モニタリングの意義につき考察を加えた.