1992 年 1 巻 2 号 p. 116-122
従来から放射線障害として知られているacute brain edemaおよびlate delayed radiation necrosisについては治療家が十分に認識し,その予防に配慮しているので,今日臨床的に問題になることは少なくなった反面,最近になってその存在が明らかになってきたsubacute radiation-induced leukoencephalopathy (radiation-induced brain atrophy)は治療に使う範囲内の低線量でも発現しうるので,治療家がその存在を知って放射線治療にあたらなければ必発であるといえる.この病態の合併を予防しつつ悪性脳腫瘍の治療に臨むことが治療の質的向上に重要であると考えられた.このsubacute radiation-induced leukoencephalopathyを中心に,放射線による細胞傷害の一般的なメカニズム,放射線治療に伴う正常脳の障害について,文献および自験データに基づいて解説した.