抄録
第3脳室腫瘍に対するinterhemispheric anterior transcallosal approachはintraaxialおよびextraaxialの第3脳室腫瘍に対して適応がある.脳室拡大のない例では本法は経大脳皮質接近法よりも有利である.腫瘍の生物学特性および腫瘍の局在,進展により他の接近法の選択,併用も検討したうえで本接近法を選択する.皮膚切開と関頭部位は傍矢状静脈を温存すべくその位置を決定する.大脳半球間裂の分離,脳梁切開の実施上の留意点および第3脳室上壁を分離し第3脳室内の腫瘍に接近するための各種アプローチの長所,短所に関して検討を加えた.第3脳室と腫瘍の剥離は腫瘍の病理学的特性によって,その難易度は異なる.第3脳室上壁,底,前壁,後壁から腫瘍を剥離摘出する際の留意点と解剖学的指標について目験例を交えて解説を加えた.手術進入路における神経または血管組織損傷の危険性,腫瘍剥離摘出に伴う合併症について考察を加え,術後合併症とその対策,手術成績について文献的考察を加え検討した.
