脳神経外科ジャーナル
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中大脳動脈瘤の手術(<特集>脳動脈瘤手術のコツ)
渋谷 正人
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1992 年 1 巻 4 号 p. 313-321

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抄録
中大脳動脈瘤と一口にいってもさまざまで,動脈瘤の発生部位,大きさ,枝の分岐,脳内血腫の有無によってそのアプローチの方法は違ってくる.ICからM_1を順に辿るproximal approachとM_2から直接M_1一動脈瘤をアタックするdistal approachの二通りに大きく分けることができるが,どちらか一方に固執することなく状況に応じて,より安全で脳に対する障害が最も少ない方法を使い分けるべきであろう.Temporary clipはできるだけ避け,使用する場合は10分以内とし,脳保護剤を併用する.Wide neckなものにはbody clippingが原則であり,動脈瘤から直接梗が出ている場合には,血管内腔が十分な大きさになるようブレードの長さ,蛮曲,角屋の最も適した複数のクリップを組み合わせ,残った部分はペンシーツで包む.脳内血腫を伴う場合はHunt grade IV〜Vといえども手術の適応があり,決して諦めてはならない.攣縮予防にはクモ膜下血腫除去が最適であるが,insular cistern末梢のものは血栓溶解剤の髄腔内投与でできるだけ溶かし,残った部分を薬物治療に期待する.
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© 1992 日本脳神経外科コングレス

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