脳神経外科ジャーナル
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部分血栓化巨大動脈瘤の増大機序と治療
永廣 信治佐藤 浩一中嶌 教夫濱田 潤一郎生塩 之敬
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2001 年 10 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

巨大動脈瘤のなかには大部分血栓化しているにもかかわらず増大し続け、周辺脳神経や脳幹の進行性圧迫症状をきたし不幸な転帰をとるものがある.部分血栓化巨大動脈瘤の組織学的特徴は, 動脈瘤内に新旧の層状血栓が存在し, 新しい血栓の近傍に多数の毛細管様channelが発達し, 動脈瘤の開存腔との交通が示唆される点である.動脈瘤壁にもchannelの発達をみることもあるが, 壁内出血の所見はむしろ少ない.したがってこの種の動脈瘤の増大機序としては, 動脈瘤壁からの繰り返す出血によるものというよりも, 血栓内channelの増生と開存腔との交通による繰り返す血栓形成と考えられる.治療としては, 親動脈の近位閉塞は無効なことが多い.開存腔を完全に消失せしめるには, 直達手術でtrappingを行うか, 血管内手術で動脈瘤を親動脈とともに閉塞してしまう必要がある.その際, 種々のバイパス手術を要する場合がある.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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