抄録
われわれは1994年5月にhelical CTを導入後, 急性期破裂脳動脈瘤に対して3D-CTAを用いて診断および手術を行ってきた.初期の連続60例の検討では3D-CTAの診断能は脳血管撮影に比して同等以上であった.1996年12月以降は, 3D-CTAの情報のみで急性期手術を行う方針とした.連続して経験した83例では全例で部位診断は可能であったが, 解離性動脈瘤および1mm以下の小さな動脈瘤等7症例において脳血管撮影を追加した.3D-CTAによる診断に際しては, 動脈瘤の好発部位を含む適切な撮像範囲を設定することと, 体動を防止することが重要である.また, われわれは動脈瘤診断に際し, 多方向から観察する8画像に骨削除やMIP処理をした4画像を加えた基本12画像を設定することにより, 手術までの時間短縮と見落としを避けることができた.急性期破裂脳動脈瘤に対する3D-CTAの診断能は満足のいくもので, 解離性動脈瘤等の特殊な症例以外は, 脳血管撮影を省き, 3D-CTAのみで手術が可能と考えている.