2001 年 10 巻 3 号 p. 179-184
脊髄クモ膜下出血を合併した特発性脊髄硬膜下血腫が保存的療法にて軽快した後, 脊髄クモ膜嚢胞を合併した症例を報告した.症例は48歳, 女性で, 突然の背部痛と頭痛にて発症した.運動障害が認められなかったため, 保存的療法を選択し, 血腫は消失した.発症3カ月後, 癒着性クモ膜炎に伴う脊髄クモ膜嚢胞を合併し, 脊髄症状を呈した.嚢胞切除術では不十分であり, 嚢胞-腹腔短絡術にて軽快した.保存療法後に軽快した特発性脊髄硬膜下血腫の報告はあるが, 血腫が広範囲でかつ大きく, また脊髄クモ膜下出血を合併している症例では, 注意深い経過観察が必要である.