著者らの手術経験から, 片側顔面痙攣に対する神経血管減圧術における合併症を起こす引き金となるピットフォールや, 減圧効果があがらない要因にどのようなものがあるのかを示し, それらの防止と解決策について解説した.特に, 1)顔面神経exit zoneが術中見えにくい, 2)術後難聴が生じる, 3)術後顔面神経麻痺が生じる, 4)スパズムが改善しない原因について言及した.そのなかで, 本減圧術の基本的アプローチ, すなわちflocculus下部と第9脳神経の間を進入するinfrafloccular approachの手術手技, 1)体位, 頭部固定, 1)皮膚切開, 開創, 3)骨窓形成部位, 4)小脳半球の牽引, 脳べらのかけ方と牽引方向等を解説した.また, 手術成績に影響する患者側と術者側の要因を考察し, この手術を行う外科医にとってどのような外科解剖学的知識の修得が必要であるかについて述べた.
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