脳神経外科ジャーナル
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特発性頭蓋内圧低下症の1例 : 脊髄髄膜造影効果について
矢野 昭正三好 康之西本 健
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2001 年 10 巻 6 号 p. 394-398

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抄録

特発性頭蓋内圧低下症(SIH)の診断に最も有効かつ簡便で非侵襲的な方法として, 頭部造影MRIがあげられる.頭部造影MRIでは脳表に沿った広範な髄膜の造影効果を認めることがSIHの特徴とされており, また, 近年脊髄造影MRIでも脊髄髄膜全体の広範な造影像が認められることが報告されている.今回, 背部痛, 根性痛で発症したSIHの1例を経験したが, 本例の脊髄造影MRI所見は従来のものと異なり, 頸椎および上位胸椎レベルでは髄膜造影効果が認められたものの, それ以下の胸椎レベルでは造影効果が認められなかった.また, この脊髄髄膜造影効果については経時的変化を追うことができた.これらの所見に関しては現在まで報告がなく, 興味深い所見と考え報告した.本例のように背部痛, 根性痛が, SIHの前駆症状である場合もあり, 低髄圧症状を伴う場合には頭部および脊髄造影MRIを用いて積極的に鑑別診断を進めることが重要と考えた.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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