脳神経外科ジャーナル
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硝子軟骨から成る遊離腰椎椎間板ヘルニアの1例 : MR所見と病理所見の対比検討
吉本 祐介勝間田 篤土本 正治佐藤 透
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2005 年 14 巻 9 号 p. 592-597

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抄録

腰椎椎間板ヘルニアの中でも遊離ヘルニアは自然経過でヘルニア塊が縮小, 消失することも多く, 馬尾症状や運動麻痺がなければ保存的に治療されることが多い.今回われわれは, 左下肢神経根症状の増悪で発症し, MRI T2強調像で高信号, 造影MRIでリング状増強効果を伴う遊離腰椎椎間板ヘルニアの手術例を経験し, 画像所見と病理所見とを対比検討した.病理所見は, 標本全体が一塊の変性した硝子軟骨から成り, ヘルニア塊内部には新生血管や炎症細胞の浸潤をほとんど認めなかった.一般に, MRI T2強調像で高信号, 造影MRIでリング状増強効果を伴う遊離ヘルニアでは, 自然経過でヘルニアが退縮し, 症状も軽快しやすいといわれている.しかし本例のように, ヘルニア成分が自然吸収されにくい硝子軟骨より成るものもあり, 臨床症状が遷延, 増悪する例では, 保存療法を漫然と続けるのではなく, 手術も考慮する必要があると思われた.

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© 2005 日本脳神経外科コングレス
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