2006 年 15 巻 1 号 p. 27-35
難治性の側頭葉てんかんに対する標準的前側頭葉切除は, その有効性と安全性から, すでに確立された推奬治療となった.良好な術後成績をもたらす有力な術前因子は限局した画像病変の存在であるが, さらに発作成績を向上させるためには海馬外焦点の同定とその処置が必要となる.新皮質切除を少なくして側頭葉内側に到達するためにいろいろな方法が提唱されているが, 発作成績や術後認知機能についてある術式が他よりも優れているという証拠は今のところない.側頭葉内側構造の安全で確実な切除のためには, (1)側脳室下角への確実な到達, (2)隣接する大脳脚や周回槽内血管への障害回避, 特に海馬溝に入る動静脈の処理, の2点がポイントとなる.