抄録
Fiber Tracking法を用いた白質線維描出は,中枢神経疾患の診断および治療戦略を考慮するうえで重要な手法となってきた.この方法に関して,関心領域をどう設定するか,神経線維交叉部や浮腫の中での線維描出をどう描出するかといった問題点が報告されている.われわれはこの方法を用いて,頭蓋内腫瘤性病変178例に対して白質線維描出を行った.その結果,線維が大きな腫瘤性病変に沿って描出されることがあること,関心領域の始点と終点を入れ替えることにより線維描出パターンが大きく変化することの2点が問題点として確認された.本法はまだ開発段階の検査方法であり,問題点の解明と検証操作が必要であると考えられる。