Otology Japan
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原著論文
アブミ骨周囲に硬化性病変を伴った鼓室硬化症に対する鼓室形成術
─主に術後聴力成績について─
和田 忠彦岩永 迪孝白馬 伸洋平塚 康之隈部 洋平小西 将矢岡上 雄介樋渡 直
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2010 年 20 巻 5 号 p. 684-691

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抄録

今回我々はアブミ骨周囲に硬化性病変(石灰化および骨新生 以下硬化性病変)を伴う鼓室硬化症に対する鼓室形成術について検討した。対象は、2004年~2008年の5年間でアブミ骨周囲に硬化性病変を認めた鼓室硬化症に対して鼓室形成術をした85耳である。手術時年齢は26歳~78歳(平均年齢:61.3歳)であり、術前聴力の平均気導値は73.7dB、平均骨導値は38.0dBでA-B gapは35.7dBであった。術後、全体の聴力成績(日本耳科学会聴力判定案2000)は、85耳中56耳(65.9%)であり、術後の平均気導値は55.0dB、A-B gapは17.0dBであった。
伝音再建別の成功率では、I型が3耳中2耳(66.7%)、III-i型が26耳中16耳(61.5%)、IIIc型が49耳中33耳(63.7%)、IV-i型が3耳中2耳(66.7%)、IVc型が4耳中3耳(75%)であった。また、IIIc型再建の再建材料別検討において、自家キヌタ骨を使用したIIIc再建では、24耳中11耳(45.8%)、Apaceram P®を使用したIIIc再建では、25耳中22耳(88%)が成功例であった。

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© 2010 日本耳科学会
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