抄録
くも膜下出血に伴う脳血管攣縮(VS)による神経脱落症状(DIND)と永続的虚血性病変(IL)の出現と予後判定上の意義を,TCD mapping(TCDM)の血流速(FV)とその第1〜第10高調波Fourier解析によるPulsatility index(FPI_<1-10>),さらにAcetazolamideによる脳血管反応性(VR)を用いて検討した.TCDM上のFV上昇(≧120cm/s)例では,A)FPG_<1-10>が全体的に低下しhyperemiaが推測される群と,B)FPI_<1-10>が上昇しVSによる末梢血流抵抗上昇が考えられる2群に分類でき,B)群ではDINDおよびILが高率に出現した.一方,VRの所見のみではILの出現や予後を予知しがたく,FVおよびFPI_<1-10>の上昇を主に考慮することにより,ILの出現や予後不良の予知が可能である.