抄録
頭蓋底に浸潤した頭頚部悪性腫瘍に対する頭蓋底手術の有用性や限界につき検討した.前頭蓋底手術(11例)にはsupraorbital transbasal approachを,中頭蓋底手術(6例)には主にorbitzygomatic approachを用いた.術後follow-up期間は1〜100カ月(平均25.3カ月)である.転帰は5年以上生存例1例,3年以上1例,3年未満12例,死亡3例である.前頭蓋底手術例は1例を除きdisease freeであるが,海綿静脈洞内浸潤例を示した5例中2例は死亡した.前頭蓋底浸潤例では一期的な根治術が可能であるが,海綿静脈洞内浸潤例に封ずる根治術は未だ困難といえる.