2011 年 20 巻 3 号 p. 177-182
年間500例以上の聴神経腫瘍がガンマナイフを代表とする定位的放射線治療により治療されている.低侵襲性,良好な腫瘍制御ならびに機能温存率が定位放射線治療により報告されている.この治療の対象外となる大型腫瘍では,現在においてもマイクロサージェリーが第一選択であることはいうまでもない.小型腫瘍では自然経過,放射線治療,外科治療の長所短所を十分に考慮して治療を選択する必要があり,不必要な治療を行うべきではない.本稿においては,定位的放射線治療の報告に関する疑問点を提示するとともに,顕微鏡手術における進歩,良好な治療成績を得るための工夫を紹介する.QOLに関しても外科手術が必ずしも劣るものではなく,ことに若年患者の小型腫瘍においては外科手術が第一選択であると考える.