2011 年 20 巻 3 号 p. 170-176
Radiosurgery時代の頭蓋底外科の役割,すなわち「神経症状を悪化させないようにできるだけ摘出する」方法を概説した.海綿静脈洞部は外側壁浅層(固有硬膜層)まで摘出する.メッケル腔内も三叉神経からの剥離が可能であれば摘出する.脳神経および脳血管は、剥離できなければ腫瘍を周囲に残して温存する.術前画像でpial blood supplyがある場合や脳幹浮腫が強い場合には,腫瘍を脳幹から剥離しない.また,腫瘍が脳底動脈の分枝や穿通枝を巻き込んでいる場合や,MEPが低下した場合には剥離は中止して腫瘍を脳幹周囲に残す.一方,頭蓋外に進展した腫瘍は,できるかぎり摘出する.各症例でどこまで摘出するか術前に方針を明確にしておくことが重要である.