抄録
2例の小児における嚢胞形成を伴う髄膜腫を経験し,開頭腫瘍摘出術を行った.本報告では,これら2症例の臨床病理学的検討を行った.症例1は6歳男児で,右上下肢間代性痙攣にて発症した.左前頭部に嚢胞性病変を認め,開頭腫瘍摘出術を施行した.摘出標本は病理学的に線維性髄膜腫であった.症例2は7カ月男児で,痙攣にて発症した.左中頭蓋窩に嚢胞を伴う腫瘍を認め,クモ膜嚢胞を疑い,開頭腫瘍摘出術を施行した.摘出標本は病理学的に微小嚢胞性髄膜腫と診断した.それぞれ22年,17年間再発なく経過している.以上2症例を提示する.小児髄膜腫の自然歴,嚢胞形成の機序など解明されるべき点が多く,今後の症例の蓄積が必要であると考えられた.