脳神経外科ジャーナル
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悪性グリオーマに対する高精度放射線治療(<特集>グリオーマ治療の現状と展望)
井内 俊彦幡野 和男
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2012 年 21 巻 3 号 p. 207-215

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抄録
悪性グリオーマ罹患患者の予後は不良で,その再発は局所再発が多い.したがって,予後改善には局所治療の強化が必要である.近年の照射技術革新は,周辺正常構造物の被曝を抑えつつ病変に大線量を照射することを可能とした.このような照射手技を用いた線量増大試験により,大線量照射が本腫瘍の局所制御を改善することが明らかになる一方,局所制御のみでは罹患患者の予後改善は得られないこともわかってきた.このことは,局所の腫瘍細胞のみならす浸潤腫瘍や髄液中に遊離した腫瘍細胞の制御を目指した集学的治療の重要性を示している.一方,大線量照射は放射線脳障害のリスクを高め,特に長期生存例で問題となる.VEGF抗体であるベバシズツマブの放射線壊死への効果に代表される放射線障害に対する治療法の確立は,大線量照射の安全性を高めるものと期待される.高精度照射技術を用いた大線量照射による局所制御は,悪性グリオーマに対する集学的治療の中で重要な役割を担うものと期待された.
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© 2012 日本脳神経外科コングレス

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