抄録
rt-PA静注療法とその関連治療技術,TIA診療に関する最近の国内外の動向を概説した.欧米と遜色ない国内治療成績の報告が相次いでいる.治療可能時間の延長(3時間から4.5時間へ),国内承認用量0.6mg/kgの妥当性が焦点となっている.治療可能時間のさらなる延長,新しい製剤の開発,超音波血栓溶解や脳血管内治療デバイスの意義を論じた.一過性脳虚血発作(TIA)に関しては,DWI病巣陽性例が多く,ハイリスク因子が明らかにされ,発症数日以内のイベント発生率が高く,適切な治療介入でこれらを回避できることなどが明らかとなっている.現在,国内研究班が,TIA診断基準や診療システムの見直しに関する調査,研究を進めている.