脳神経外科ジャーナル
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特集 動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の病態と治療―なにが違ってなにが同じなのか―
脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の成因と自然歴
里見 淳一郎永廣 信治
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2013 年 22 巻 12 号 p. 898-903

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抄録

 脳動静脈奇形 (brain AVM : BAVM) は, 一般的に, 胎生3週目頃に形成されるべき細動脈—毛細血管—細静脈の先天的形成異常が原因と考えられているが, 出生後, 特に幼児期以降のある程度成熟した後に発生することもある. BAVMの自然歴は, 血管構築・発症形式により異なることが, これまでに多く報告されている. BAVMの発生に遺伝的関与が明らかとなっているのは, 遺伝性出血性毛細血管拡張症 (hereditary hemorrhagic telangiectasia : HHT) のみである. 成人に発生する硬膜動静脈瘻 (dural arteriovenous fistula : DAVF) の多くは後天性と認識されている. 病因に関するさまざまな報告があるが, 不明な点も多い. 自然歴に関して, これまで静脈還流異常 (静脈洞閉塞, 皮質静脈逆流, 静脈うっ滞) などの血管構築上の異常が悪化に関与する因子として認識されているが, 近年, これらに加え, DAVFの発症形式が自然歴に大きく影響するとした報告が相次いでいる.

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© 2013 日本脳神経外科コングレス
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