脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
特集 グリオーマ研究の最先端:基礎と臨床
グリオーマに対する化学療法
—最新のエビデンスを中心に—
佐々木 光
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 23 巻 7 号 p. 547-558

詳細
抄録
 BCNU徐放剤とベバシズマブ (BEV) について, これまでの知見と薬剤の特徴について概説し, また退形成性乏突起膠腫と高齢者膠芽腫における最新のエビデンスを紹介する.
 BCNU徐放剤の留置により, 再発ならびに初発悪性神経膠腫患者の生存期間が延長した. 再発膠芽腫の80%以上がBEVにより造影領域の縮小を示した. 初発膠芽腫に対して放射線/テモゾロミド (TMZ) 併用療法にBEVを併用することにより, 無増悪生存期間は延長されたが, 全生存期間は延長されなかった. 1p19q共欠失を持つ退形成性乏突起膠腫に対して, 初回治療に化学療法を入れることにより生存期間が延長された. 高齢者膠芽腫において, MGMTメチル化の有無によりTMZの効果が予測された.
 BCNU徐放剤やBEVを有効活用するうえでは, 治療効果や副作用を含め各薬剤の特徴を十分に理解することが重要である. また, 臨床試験結果に基づく適切な治療のために, 1p19q共欠失, MGMTなど分子マーカーの日常的な検索が必要である.
著者関連情報
© 2014 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top